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ExcelVBA専門技術ブログ

要件定義力は「数学が得意な人」が有利?

こんにちは。私は普段、フリーランスシステム開発の仕事を請け負っていて、要件定義から開発、納品、保守まで一通り対応しています。
そんな中でも、特に最初の「要件定義」のフェーズは、毎回お客さんとの対話を通じて悩みごとを聞き出し、それを整理して解決策として形にしていく──とても重要なステップだと感じています。

そうした経験を重ねる中で、「自分がなぜこの仕事の中でも要件定義を得意と感じるのか?」と改めて考えてみたところ、学生時代に得意だった“数学”が、実は大きく影響しているのではないか、と思うようになりました。

今回は、その気づきをもとに、「数学が得意な人は、要件定義にも向いているのでは?」という仮説について、少しAI(ChatGPT)の力も借りながら、自分なりに整理・考察してみました。


仮説:数学が得意な人は要件定義も得意?

数学の問題を解くときって、こんな流れじゃないでしょうか?

  1. 問題文をちゃんと読む

  2. 条件を整理して把握する

  3. 問題の構造を理解する

  4. 解き方をいくつか思いついて、その中から選ぶ

  5. 解答を導き出して、説明できる形にまとめる

で、この流れ。
実はシステム開発における「要件定義」と、ものすごく似てるんです。

  • 1. 問題文を読む → お客さんの話を聞いて、困っている内容を理解する

  • 2. 条件の整理 → 実現したいことや制約(予算・納期など)を把握する

  • 3. 構造の理解 → 全体の業務や仕組みを整理して、どこをシステム化するか考える

  • 4. 解き方の選定 → 複数のシステム案を比較して、最適な方法を選ぶ

  • 5. 解答のまとめ → 提案書や画面イメージで説明して、納得してもらう

このように、数学で自然に身につけた「論理的に考える力」「整理して選ぶ力」が、
要件定義の現場でもそのまま使える場面が多いのです。

だから、数学が得意だった人は、最初から思考の型ができていて、
要件定義にもすんなり入っていきやすい。これは確かに“ちょっとした強み”かもしれません。


でも、数学だけじゃ通用しない

ただし。
数学ができれば、要件定義も完璧!……というわけではありません。

要件定義には、こんなスキルも必要です:

  • お客さんの話を引き出すヒアリング力

  • 言葉にならない「本当の悩み」をくみ取る力

  • 現場や業務の流れを理解する力

  • 提案を納得してもらうためのコミュニケーション力

つまり、「論理力」だけでなく、「人と関わる力」や「現場を見る力」も求められるんですね。


数学が苦手な人は、どうすれば?

「自分は文系だし、数学苦手なんだよな〜」という方でも大丈夫。
要件定義に必要な力は、後からでもちゃんと身につきます。

特にポイントになるのが、次の3つの“思考力”です:

必要な3つの思考力と、その使いどころ

思考力 どんな力? 要件定義でどんなときに使う? 身につけ方のヒント
構造化力 情報を整理して、全体像をスッキリまとめる力 お客さんの話を「目的」「機能」「制約」などに分けて、設計に落とし込むとき マインドマップ / 手順書を書く練習
抽象化力 共通点や本質をつかんで、応用できる形に変える力 業務ごとの違いに惑わされず、システムで使える形に整理するとき 比喩で説明 / 類似事例の分析
提案力 複数の選択肢から、最適な解を導き出す力 「こんな仕様ならどうですか?」と提案し、お客さんの判断を助けるとき ケーススタディ / ブレスト会議

こういった力は、最初はぎこちなくても、実務や練習の中でどんどん育ちます。

「苦手だから無理」ではなく、「少しずつ慣れる」が大事です。


最後に:数学は“道具”の一つにすぎない

  • 数学が得意な人は、論理的な思考力で一歩リードできることがある

  • でも、要件定義には“人の話を聞く力”や“共感する力”も必要

  • 数学が苦手でも、練習次第でしっかり要件定義力は身につく!

私自身、数学好きがきっかけで「考えて整理する」クセが自然とついていたのが、
今の仕事でも活きてるのかなと思っています。

もしあなたが要件定義をやってみたい、もっと得意になりたいと思ったら、
まずは「話を聞いて、整理して、考えて、伝える」──その小さなサイクルから始めてみてください。


関連・参考リンク

個人開発・ツール開発全般に通じる「要件定義力」の重要性

はじめに:Excel VBAに限らない本質的なスキルとして

この記事では「Excel VBA開発における技術ロードマップ」をベースに解説を進めていきますが、本質的には特定の言語に限った話ではありません。Excel VBAを例に取りながらも、個人でのツール開発、受託開発、あるいはシステム開発全般に関わる人にとっても必要となる「要件定義力」にフォーカスします。

実際に副業やフリーランスとして活動を広げようとする中で、依頼主の要望を正確に理解し、それを的確な仕様に落とし込んで提案・実装できるスキルは、収益化の上で非常に重要な武器となります。


要件定義力とは何か:ロードマップ上の位置づけ

Excel VBA開発には、基礎的なExcel操作から始まり、VBA基礎、社会人経験、実装知識、要件定義力、開発効率化技術へと段階的にスキルを積み上げていくロードマップがあります。

この中でも「要件定義力」は、「副業や開発請負で収益を得る段階」に達した人が直面する重要な分岐点です。クライアントの困りごとを聞き出し、解決策を設計し、仕様に落とし込む力は、単なるコーディングスキルとは異なる次元の力です。

要件定義力

Excel VBA開発のロードマップ

参考Xポスト

https://x.com/aero_iki/status/1775070234170491003

 


実体験から見えてきた「要件定義力」

私は現在、マンツーマンのレッスンで受講生に対し、「要件定義力」を鍛えるための実践的なカリキュラムを実施しています。講師である私が「依頼者役」となり、受講生が「開発者」としてヒアリングを行う“ロールプレイング形式”を通じて、要件定義に必要なスキルを体系的に体感してもらっています。

技術力が高くても「話を聞く力」が弱ければ課題を正確に捉えられず、「説明力」に欠けると、せっかくの提案も相手に伝わりません。このような現場での実践から、要件定義力に求められる要素が明確に見えてきました。


要件定義力に必要な3つの力

1. 話を聞く力(傾聴力)

クライアントの悩みは、しばしば言語化されていない曖昧なものです。それを丁寧に聞き取り、文脈や非言語的な要素から本質を掘り起こす“察知力”が求められます。まるで探偵のように、相手が気づいていない問題の輪郭を浮かび上がらせる力です。

2. 提案力(解決案の広さ)

問題解決には、知識だけでなく応用力が必要です。特にUIの設計は「センス」と誤解されがちですが、実際にはユーザビリティエンジニアリングという分野に代表されるように、視線誘導や認知負荷を考慮した再現性ある設計技術です。

たとえば、「重要なボタンは右下または中央に配置する」「選択肢は並列表示する」といった基本原則を押さえるだけで、使いやすさは大きく変わります。提案力とは、こうした知見を適切に組み合わせ、現場に最適化して落とし込む力です。

  • 上手なUIの構築

  • イベント検知による入力効率化

  • 書類の形式編集

  • データベース化の提案

3. 説明力

技術に明るくないクライアントにも提案の意図を伝えるには、わかりやすい比喩や図解、操作イメージの提示が不可欠です。「導入前と後で何が変わるのか」を明確に伝える説明力は、納得と受注の鍵となります。


スキル習得の鍵は“実戦”にあり

要件定義力は、運転教本を読むだけでは運転が上手くならないのと同様、座学だけでは身につきません。ココナラやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスで実案件に挑戦し、実際のやり取りを通じて経験値を積むことが重要です。

ただし、特にココナラでは「登録しただけでは案件が来ない」など、初期の壁も多く存在します。そうした実戦の疑似体験として、私のレッスンではロールプレイング形式を導入しています。仮想の案件対応を通じて、傾聴・提案・説明の3つの力を安全かつ効果的に鍛えることが可能です。


要件定義は“創造的で楽しい”仕事

要件定義は、単なる事務的作業ではなく「創造的でやりがいのあるプロセス」です。開発には大きく2つの役割があります。

  • 上流工程(要件定義・仕様設計):問題を見極め、構想を描き、提案する

  • 実装工程(コーディング・開発):仕様に従い、実際にシステムを構築する

上流工程に関わることは、クライアントと直接やり取りをしながら問題の本質を探り、提案を通じて“感謝される喜び”や“構想を形にする達成感”を味わえる点で、非常に面白く、満足度の高い仕事です。

ただ与えられた仕様に従うだけの開発とは異なり、自分の思考や経験をダイレクトに反映できる創造的フェーズこそが、要件定義の醍醐味です。


要件定義力はAIでは代替できない

要件定義に必要な力は、現段階のAIでは再現が困難です。その理由は主に以下の3つです:

  1. 多くの判断が「言語化されていない情報(暗黙知)」に基づいている

  2. 曖昧な要求から本質を読み取る“推測力”と“文脈理解力”が不可欠

  3. 相手の感情や反応を読み取り、最適な説明や提案を“その場で選ぶ”即応性

AIは言語化されたデータから学習しますが、実際の現場では「書かれていないが、感じ取るべきこと」が圧倒的に多く、それが要件定義力の中核をなしています。


まとめ:要件定義力が未来の価値を決める

要件定義力とは、単に業務を聞いて仕様に落とし込むだけの技術ではありません。それは、課題を解き明かし、最適な形に構築する“問題解決力の中核”です。

この力を持つことで、他者と差別化できる開発者となり、単なる実装者から“価値を設計できる人”へとステージを上げることができます。

そして何より、要件定義は面白い。人の困りごとを読み取り、自分の考えと技術で形にして、感謝される。その経験こそが、開発者としての喜びであり成長の源泉です。


開発依頼・ご相談はこちら

私はExcel VBAGoogle Apps Script(GAS)を専門とし、業務効率化ツールや業務システムの受託開発を行っています。

「こんな作業を自動化したい」「現場で使える簡単なツールがほしい」など、まずはお気軽にご相談ください。

www.softex-celware.com


コードを書く前に必要な「要件定義力」──実践で鍛える、プロの仕事力

VBAExcelマクロに限らず、あらゆるプログラミングやシステム開発の現場で必要不可欠なのが「要件定義力」です。

今回紹介するのは、ただコードが書けるようになるのではなく、実際の案件対応で“信頼される開発者”になるためのレッスンの中身。副業で受託開発を始めたい方、独立してフリーランスを目指す方、あるいは講師業としてレッスンを提供している方にも参考になる内容です。


要件定義力を鍛えるには「実践」が一番

開発の仕事を請け負いたい。そんな目標を持って学習を進めている人に、ぜひ覚えておいてほしいことがあります。

それは、「コードが書ける」だけでは仕事にならないということです。

とくに私のようにココナラなどのサービス経由で受託開発をしていると、プログラマーとしての技術力以上に問われるのが、依頼者とのやり取りの中で適切な提案ができるかどうか、つまり「要件定義力」です。

現実の現場では、仕様がすでにバッチリ決まっていて、それをそのまま実装すればよいという案件のほうが少数派です。
むしろ、「なんとなくこういうことをしたい」というあいまいな相談内容からスタートすることがほとんど。

それに対して「それならこういう形が良いと思います」と相手のニーズを言語化し、整理し、具体的な仕様としてまとめ上げる力が求められます。

これは例えるならば、

銃の構え方や撃ち方だけを習っても、実際の戦場でどう動くべきかは分からない
のと同じ。

つまり、実戦に出てはじめて学べる「実践知」を鍛えなければ、本当に通用する力にはなりません。

このような背景から、私はレッスンの中で「要件定義力」を鍛えるためにロールプレイング形式のカリキュラムを取り入れています。


ロールプレイングの形式とは?

実際のレッスンでは、私(講師)が「依頼者役」となり、受講者に対して開発の相談を持ちかけます。

依頼内容はあえてあいまいに設定し、そのやり取りの中で:

  • ヒアリング力(不明点の掘り下げ)

  • 課題の明確化

  • 提案力(具体的な仕様提示)

  • 見積作成力(タイミング含む)

  • 複雑な要求に対する整理力

などを総合的に鍛えていきます。


実際のやり取り(一部抜粋)

以下は、実際に行ったレッスンの中で提示したアドバイスの一部です。読者にも具体的な指導の様子が伝わるよう、そのままの形式でご紹介します。

【講師からのアドバイス】

「出来るかどうかはまだ分からない段階」の場合は「一旦技術検証してから返信いたします」と返すようにしています。
その前に、お客様からの要望に関して、要望を確認した段階で
①可能である
②不可能である
③可否不明
の3つですが、

①→具体的な仕様も含めてどのような実装になるか説明。
②→具体的な理由も含めて不可能と説明
③→「一旦技術検証してから返信いたします」で返す

ちなみに、これ以外に
④可能であるけど、実装には工数を要するし実装してもほとんど効果がない。
 しかし、依頼者はあまりそれらの理由を納得しそうにない。
という場合は②の「不可能である」として、
その理由もなにかしら納得がいくものを考えたりします。

「なんでも実装できる」≠「お客さんに本当に役に立つものが作れる」
という視点を、ぜひ持ってほしいと思います。

このように、ただの技術指導に留まらず、「現場対応力」や「相手の立場に立った伝え方」までを含めてレッスンを構築しています。


レッスンを通じて得られる学び

このレッスンを通じて、受講者は「開発技術」だけでなく以下のような実務力を身につけます:

🔹 要件を引き出す力

相手が本当に困っていることを見抜くヒアリング力。

🔹 提案を伝える力

文章+図や表を活用し、非エンジニアにも伝わる資料化スキル。

🔹 折衝・交渉力

見積タイミングの判断、仕様変更のリスク管理などを実体験で学べる。

🔹 ユーザー思考

「エンジニア視点ではなく、ユーザー視点で考える力」を徹底訓練。


実案件に強い開発者を目指す方へ

VBAで開発して稼ぎたい」「副業で受託開発をしたい」だけでなく、Webアプリ開発や業務システム、ツール制作など広くシステム開発に携わる人にとっても、要件定義力は避けて通れないスキルです。

今回のようなロールプレイング形式のレッスンでは、ただコードを書くのではなく、「人と話して仕事を作る力」を実践的に学べます。

現場で困らないための“思考力と実務力”を、ぜひ身につけてみてください。


💡このレッスンに興味がある方へ

要件定義から開発までの“すべての工程”を自力で進められるようになりたい方には、こうしたロールプレイ形式のレッスンを随時開催しています。

ご興味ある方は、以下からお問い合わせください。 

www.softex-celware.com

すべての処理を1つのボタンで実行しようとすることの落とし穴

このテーマはVBAに限らず、あらゆるプログラミング言語やツール、UI設計全般に共通する重要な設計思想です。たとえばWebアプリケーションや業務システム、PythonJavaScriptなどのスクリプトでも同様に、一括処理にこだわると保守性・可読性・拡張性の面で大きな問題を引き起こします。

特にUIを備えたアプリケーションでは、ユーザーの理解・操作・問い合わせ対応にも直結するため、「処理を分けて制御可能にする」ことは要件定義や設計段階でも非常に重要な判断基準になります。

VBA初心者によく見られる傾向として、「すべての処理を1クリックで完結させたい」という発想があります。たとえば、「読み込みから帳票作成・PDF出力までを一つのボタンで済ませる」といった実装です。一見すると効率的に見えますが、実際にはさまざまなデメリットを招きます。


■ 典型的なユースケース

例えば、以下のような一連の処理を1つのボタンにまとめてしまうケースです:

  1. 顧客売上データのCSVを読み込み

  2. 特定の期間における企業別売上を分析

  3. 顧客ごとの領収書シートを複製・転記

  4. すべてのシートをPDFに出力(企業別など)

このような一括処理にすると、どこで止まったのか特定できず、メンテナンスが極めて困難になります。


■ 「すべての処理を1つのボタンで実行する」設計に対する、現場利用者と開発者の視点

以下は「すべての処理を1ボタンで行う」設計における、それぞれの立場でのメリット・デメリットです。操作性や設計意図は異なる立場によって評価が分かれやすいため、両者の観点を理解することが重要です。

立場 メリット(1ボタン化による) デメリット(1ボタン化による)
利用者(現場担当) 操作が単純・直感的に感じる/一括で終わる安心感 処理進捗が見えない/途中で止まったときに分かりにくい/部分的なやり直しが難しい
開発者 初期構築が早く済む/シンプルに見える 単体テスト不可/デバッグが困難/後からの仕様追加や変更に対応しづらい

■ 問題点の具体化

  1. ユーザーが処理の流れを把握できない

    • すべてが一瞬で終わるため、何が行われているか分からず、不安につながります。

  2. エラー発生時にどの段階で止まったか分かりづらい

    • 「どこまで進んだのか」「何が原因か」が不明確なため、トラブルシュートが困難になります。

  3. 開発者もテストやデバッグがしにくくなる

    • 例えば"帳票出力部分だけ"の検証をしたい時でも、毎回全処理を走らせなければならず非効率。

  4. 柔軟な運用が難しくなる

    • 特定の処理だけをやり直す・修正する場合でも、全体の再実行が必要となる。


■ 対策と改善提案

✅ ステップごとに処理を分けて設計する

  • ボタンを分けることで処理ごとの確認や再実行がしやすくなります。

  • 例:

    • Sub ImportCSV()

    • Sub GenerateReceipts()

    • Sub ExportToPDF()

    • → 総合処理用 Sub AllInOneProcess() で上記を順に呼び出すことで、一括処理にも対応可能

✅ 開発・運用の効率化が図れる

  • 各プロシージャが単体で実行可能なため、単体テストが容易

  • トラブル時にも「どのボタンを押した際に止まったか」が報告されやすく、対応が迅速になる

✅ ユーザー視点での利便性向上

  • 中断や途中修正時も一部ステップからやり直せる

  • メッセージ表示や進捗表示があれば、安心して処理を任せられる


ユーザビリティ向上の具体施策

🔔 フェーズごとのメッセージ表示(完了報告)

MsgBox "CSVの読み込みが完了しました", vbInformation
  • vbInformation を使うことで、音とアイコンで視覚+聴覚的に処理終了を知らせる

📊 ステータスバーへの進捗表示

Application.StatusBar = "顧客シートを生成中... (" & i & "/" & lastRow & ")"
  • 長時間のループ処理時に、処理が進んでいることを明示してストレス軽減

  • 終了時は Application.StatusBar = False でリセット

📝 ログシート出力(処理結果記録)

  • 処理の成功/失敗・タイムスタンプをログに記録しておくと、後からの確認や問い合わせ対応がスムーズ


■ 「1クリック信仰」の心理と設計思想のギャップ

初心者にありがちな誤解として、「自動化=すべてを一発で終わらせる」ことが正義だと思い込む傾向があります。

しかし、現実の業務では…

  • エラー対応や再実行

  • 拡張や改修への対応

  • 利用者の理解と操作性

これらすべてを考慮すると、“制御しやすい構造化された処理”こそが本質的な「自動化」です。

処理を分けることは、手間を増やすのではなく、手間を減らすための準備です。


■ 処理フローの図(イメージ)

[CSV取込] → [データ整形・領収書生成] → [PDF出力]
   ↑             ↑                           ↑
 [ボタン1]     [ボタン2]                 [ボタン3]

■ まとめ

「1クリックですべてやる」ことが必ずしも悪いわけではありません。ただし、最初から全処理を1つに詰め込むことが必須か? という視点を持つことが重要です。

業務の柔軟性・開発効率・ユーザーの安心感を考慮すると、処理を分けて構造的に実装することこそが、実践的なVBA開発の第一歩です。

Excel VBA初心者がよくやりがちな失敗とその対策

VBA初心者にありがちなミスや勘違いを、現場での実例や経験に基づいてまとめてみました。コードを書く上での基本的な考え方から、可読性・保守性に関わる設計まで、初心者がやりがちな注意点をひとつずつ丁寧に解説していきます。


1. Option Explicit を記述していない

■ 問題点:

VBAでは、デフォルトでは変数を宣言しなくてもコードが動いてしまいます。そのため、タイプミスで意図しない変数が作られてしまい、エラーが発見しづらくなります。また、変数の型を宣言しないことで、予期せぬデータ型に自動変換され、数値計算や文字列処理が正しく行えないといった問題も起こります。

■ 対策:

すべてのモジュールの冒頭に Option Explicit を記述しましょう。これにより、未宣言の変数を使おうとした段階でコンパイルエラーになるため、バグを未然に防げます。変数の型を明示することで、意図しないデータの扱いを防ぎ、処理の安定性も向上します。


2. インデントが整っていない

■ 問題点:

コードの構造が視覚的に分かりにくくなり、If文やループの範囲が不明確になります。特に複雑な処理になると、読み間違いや修正時のミスに繋がります。

■ 対策:

If文、For文、With文などのブロックには必ずインデントを設定し、コードの階層構造を明確にしましょう。VBEのインデント機能やフォーマッタを活用すると一貫性が保てます。


3. マクロの記録をそのまま使っている

■ 問題点:

記録マクロは「選択」や「アクティブ化」などの不要な処理を多く含んでおり、読みづらく、冗長になります。また、意図しない動作の原因にもなります。

■ 対策:

記録マクロは「雛形」として活用し、不要な行や無駄な操作は削除して整理した上で使うようにしましょう。


4. 親オブジェクトを指定しないRangeやCellsの使用

■ 問題点:

初心者に多いミスの一つとして、RangeCells を使用する際に親オブジェクト(通常は Worksheet)を明示せずに使ってしまうというものがあります。この場合、処理は ActiveSheet を対象として実行されるため、ユーザーが別のシートをアクティブにしていると、意図しないシートで処理が行われてしまいます。

たとえば、以下のようなコードは非常に危険です:

Range("A1").Value = "テスト"

これは「今アクティブなシート」のA1セルに書き込むという命令であり、どのシートかは明示されていません。

■ 対策:

必ず親オブジェクトを明示して記述しましょう。以下のように Worksheets またはシートのオブジェクト名を使って、処理対象を明確にします:

Worksheets("集計").Range("A1").Value = "テスト"

または、

sh01_集計.Range("A1").Value = "テスト"

このようにしておけば、コードを読む人にとっても処理の対象が一目瞭然ですし、アクティブシートに依存しない堅牢な設計になります。


5. ワークシートの参照方法が危険

■ 問題点:

Worksheets(1) のようなインデックス指定は、シート順の変更で意図しないシートを参照してしまう危険があります。また、シート名の直書きもユーザーによる変更に弱くなります。

■ 対策:

VBE上でシートのオブジェクト名(例:Sh01_設定)を指定し、Sh01_設定.Range(...) のように使うことで、順番や表示名の影響を受けずに安全に参照できます。


6. コメントが書かれていない/変更理由も残っていない

■ 問題点:

なぜその処理をしたのか、どんな意図があるのかをコメントで残さないと、後日見返した際に理解するのが非常に難しくなります。

■ 対策:

  • 関数の目的、引数、戻り値などを簡潔にコメントで残す

  • 変更の理由や処理の意図を適度に説明しておく

  • 読む側の立場に立って必要最小限の情報を添える


7. プロシージャが長すぎる

■ 問題点:

処理を1つのプロシージャに詰め込みすぎると、コードの見通しが悪くなり、保守性が大きく低下します。

■ 対策:

50行以内にまとめるのを目安に、処理ごとにサブルーチン化しましょう。役割の異なる処理は分割し、関数名で機能が分かるようにするのがコツです。


8. ネストが深すぎる

■ 問題点:

ループや条件分岐が入れ子になりすぎると、ロジックの追跡が困難になります。特に3重以上のネストは読みづらく、デバッグもしにくくなります。

■ 対策:

ネストの深い処理は別プロシージャに分けるなどして、処理の階層を浅く保ちましょう。ネスト構造は2〜3層以内が理想です。


9. マジックナンバーを多用している

■ 問題点:

列番号や判定条件などに直接数値を記述すると、何を意味するかが分かりづらくなり、変更にも弱くなります。

■ 対策:

Enumを使って意味のある名前を付けましょう。たとえば:

Public Enum Enum_Fファイル一覧
    F01_番号 = 1
    F02_ファイル名 = 2
    F03_フルパス = 3
    F04_日付 = 4
End Enum

このようにEnumを定義しておけば、Cells(i, F03_フルパス) のように可読性が向上し、構造変更にも柔軟に対応できます。


10. フルパスをコードにハードコーディングしている

■ 問題点:

ファイルやフォルダのパスをコードに直書きすると、環境が変わると動作しなくなり、メンテナンスが大変になります。

■ 対策:

ThisWorkbook.Path や、設定シートでの指定、ファイル選択ダイアログなどを使って、柔軟かつ再利用性の高い設計にしましょう。


11. RangeやCellsをアドレスで乱用している

■ 問題点:

Range("A1")Cells(1,1) での固定参照は、行列の挿入や削除でずれてしまい、修正が困難になります。

■ 対策:

名前付き範囲(名前定義)や変数・Enumによる動的参照を使うことで、可読性・保守性ともに向上します。


12. ユーザーフォームを使いがち

■ 問題点:

初心者はVBAのプログラミングらしさや「アプリっぽさ」を求めて、安易にユーザーフォームを利用したがる傾向があります。しかし、ユーザーフォームは設計・レイアウトの自由度が低く、入力項目の変更やレイアウト調整が発生すると、再構築が面倒になります。

また、複数の入力欄やリストをフォーム上に構成するには、かなりの手間がかかり、処理の流れもコードに埋め込まれやすく、保守が困難になるケースも多いです。

■ 対策:

入力はシート上に入力欄(セル)を設け、そこで操作できるようにしましょう。Excelのグリッド構造はフォーム代わりに非常に便利で、入力項目が多くなっても簡単にレイアウト変更が可能です。

入力・実行ボタンをシートに設けることで、変更やメンテナンスもシンプルになり、VBAの初心者にとっても扱いやすい仕組みとなります。

■ 問題点:

元データが上書きされることで、処理前後の比較ができず、テストも困難になります。

■ 対策:

入力・処理・出力はシートを分け、各段階での確認・検証ができる構成を徹底しましょう。


13. 入力と出力を同じシートで処理している

■ 問題点:

一つのシートで入力・処理・出力をすべて行ってしまうと、処理前後の状態を比較することが難しくなり、特にテストや検証が困難になります。また、データの誤消去や誤上書きのリスクも高まります。

■ 対策:

「入力」「処理」「出力」の各役割を明確に分け、できるだけシートも分離して構成しましょう。これにより、

  • 入力値の確認

  • 処理結果の妥当性検証

  • 再実行時の再現性の確保 などがしやすくなります。特に、出力結果を元に別処理を行う場合や、バグの原因調査を行う場面でこの設計が有効です。


14. 変数名・関数名が分かりにくい

■ 問題点:

日本語は読みやすい反面、入力効率が下がり、IME切替も煩雑になるため、コーディング効率が落ちます。

■ 対策:

str_商品名, lng_出力件数 のように、ローマ字+日本語のハイブリッド命名を推奨します。型情報もプレフィックスで付けるとさらに明確になります。

 

↓参考

softex-celwear.hatenablog.com


15. 変数名・関数名をすべて日本語で書いてしまう

■ 問題点:

日本語は読みやすい反面、入力効率が下がり、IME切替も煩雑になるため、コーディング効率が落ちます。

■ 対策:

str_商品名, lng_出力件数 のように、ローマ字+日本語のハイブリッド命名を推奨します。型情報もプレフィックスで付けるとさらに明確になります。


16. 処理の部品化ができていない

■ 問題点:

初心者の多くは、毎回ゼロからコードを書いてしまいがちです。そのため、同じような処理でも毎回異なるロジックや命名で書かれてしまい、結果としてコード全体に一貫性がなくなり、読み直しや再利用が非常に困難になります。

また、毎回新しく処理を書くことで開発効率も悪化し、共通化すれば数行で済む処理を何度も書き直すことになり、工数も増加します。過去に作ったコードを活かせないため、成長や学習の蓄積も進みにくくなります。

■ 対策:

よく使う処理は関数やサブルーチンとして部品化し、共通モジュールやアドインに保存しておきましょう。処理名やパラメータ設計も再利用しやすい形に整えておくことで、次回以降の開発が圧倒的に楽になります。

一貫性のあるコードは、自分が後で読み直すときにも理解しやすくなり、チーム内での共有・メンテナンスもスムーズになります。


17. 汎用プロシージャに機能を詰め込みすぎる

■ 問題点:

処理を汎用化しようとするあまり、引数が多くなりすぎたり、内部で様々な条件分岐を入れて複雑になったりすると、逆に使い回しが難しくなります。

■ 対策:

  • 汎用性を意識しすぎて肥大化しないように注意

  • 一つのプロシージャには単一の目的(Single Responsibility)を持たせる

  • 引数が多すぎる場合は、構造体や設定シートなどでの管理も検討してください


18. 配列を使わず、セルからセルへの処理を繰り返している

■ 問題点:

初心者は処理をセル単位で直接行いがちですが、それでは入力→処理→出力の流れが曖昧になり、コードの構造も不明瞭になりがちです。また、処理速度が非常に遅くなります。

■ 対策:

基本設計は「入力→処理→出力」の3分構造を明確にし、処理部分は配列で一括取得・一括出力するようにしましょう。これにより処理速度も向上し、大量データでも快適に動作するようになります。実務レベルでは1万〜10万行超の処理も発生しうるため、セルからセルの逐次処理では限界が来ます。

 


19. グローバル変数を乱用しすぎている

■ 問題点:

グローバル変数Public 変数)を多用すると、そのスコープが非常に広くなり、他のモジュールやプロシージャと意図せず干渉し合うリスクが高まります。

特に次のような課題があります:

  • 可読性の低下:変数がどこで宣言されているかを探す必要があり、コード全体を俯瞰しないと追えなくなる

  • 予期しないバグ:別のプロシージャがグローバル変数を書き換えた結果、意図しない動作が起きる

  • 保守性の悪化:変数の用途や影響範囲が大きく、変更時の影響範囲がつかみにくい

■ 対策:

  • 原則として、変数はローカルスコープで運用し、必要な場合は引数や戻り値で受け渡す

  • グローバル変数を使用する場合は、影響範囲や用途を明確にし、命名規則も工夫しておく(例:Pb_○○, Pri_〇〇)

  • 複数のプロシージャが同じデータを使う必要があるなら、構造体やクラスモジュールの活用も検討する


20. すべての処理を1つのボタンで実行しようとしている

■ 問題点:

VBA初心者にありがちな傾向として、「1クリックで全自動」を目指してしまうことがありますが、それはかえってブラックボックス化を招きます。特に次のようなデメリットがあります:

  • ユーザーが処理の流れを把握できない

  • エラー発生時にどの段階で止まったか分かりづらい

  • 開発者自身もテストやデバッグがしにくくなる

  • 一部だけをやり直す、再実行するといった柔軟な運用が難しくなる

■ 対策:

  • 処理は「ステップごとにボタンを分ける」のが理想的

    • 例)①ファイル読み込み → ②処理実行 → ③出力

  • ステップ分解により、単体テストが容易になり開発効率が上がる

  • ユーザーも処理の確認・中断・再実行がしやすくなる

  • エラー発生時に「どのボタンでエラーが起きたか」が明確になるため、問い合わせ対応もスムーズ

 
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https://www.softex-celware.com/

【Excel VBA】変数の命名規則の参考例

VBA命名規則の重要性と導入メリット

VBAVisual Basic for Applications)での開発において、命名規則をあらかじめ明確に定めておくことは、単なる美しさやルールの話にとどまらず、実用的な効率化・保守性の向上・チーム連携に大きな影響を与えます。

以下では、Notionで整理した命名規則表(※本記事末尾にスクリーンショットあり、詳細はNotionページを参照)に基づき、その導入メリットを解説します。


1. コーディング効率の向上

命名規則を統一しておくことで、変数名やプロシージャ名に迷う時間がなくなり、実装に集中できるようになります。

特にVBAでは、コントロール + スペースによる補完候補の絞り込みが非常に有用で、
変数名の先頭にStr_, Lng_, Date_など型名のプレフィックスを付けることで、該当する候補が瞬時に出てきます。

これにより、入力速度が上がるだけでなく、タイポのリスクも減少します。


2. コードの可読性・保守性の向上

命名規則によって、変数の役割や型が一目で分かるようになるため、コードの可読性が大きく向上します。

例えば、Date_入社日List_従業員名といった命名は、見ただけでその用途や型が明確です。
これにより、将来的な仕様変更や修正時の影響箇所の特定が容易になります。

また、メンテナンス担当者が他人のコードを読んでも、変数の役割を即座に把握できるため、チーム全体での保守作業が効率化されます。


3. 一貫性によるチーム開発の円滑化

命名ルールがあることで、複数人開発でもルールが統一され、コードに違和感がなくなります。

プロジェクト全体で統一されたパターンが使用されていることで、レビューや連携時も迷いが減り、
さらに後からプロジェクトに参加する開発者にも理解しやすいコードになります。


4. 入力補助の有効活用

変数名にプレフィックスを付けることで、VBAの補完機能(Ctrl + Space)の精度と利便性が向上します。

逆に、日本語だけで変数名を構成してしまうと、IMEの切り替えが頻繁に発生し、作業が煩雑になります。

命名規則を英字ベースにすることで、ローマ字入力のみでコーディングが完結しやすくなり、スピードと快適さが向上します。


5. 変数の意味が自明になる

命名の工夫により、変数の意味・用途・型が変数名から読み取れるようになります。

これは、特に後からコードを読むときに効果を発揮し、読み手にとってストレスが少なく、理解の手助けとなります。

変数名の省略形にも意味があるため、たとえばTmp_は一時変数、Dict_は辞書型、Judge_は真偽値など、 読み手が文脈を補完せずに済むという利点があります。


■ Notionの命名規則一覧表(スクリーンショット

以下の表はNotionにて管理している命名規則の一覧であり、
ストリング型、数値型、日付型、オブジェクト型など、型ごとに変数名の先頭プレフィックスを定めています。

※詳細は下記のNotionリンクにて全項目確認できます:
👉 

www.notion.so




■ 経験に基づく実用性

この命名規則は、筆者がExcel VBAの開発を10年以上経験し、600件を超える開発案件を個人で受託してきた中で研ぎ澄まされたものです。

大量の案件を同時並行で対応するなか、命名規則の未整備が原因で保守ミスや非効率な作業が発生した経験があり、
その反省を活かし確立したものです。

初心者にとっては最初から完璧に取り入れるのは難しいかもしれませんが、
真似るところから始めて、少しずつルールに慣れていくことを強くおすすめします。

 

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【Excel VBA】セルに数字を入力すると、ドロップダウンの順番の文字列に自動的に置き換える

テンキー入力でドロップダウンリストを高速操作するVBA小技

✅ こんな悩みにおすすめ

  • セルの入力規則(ドロップダウンリスト)を使っているが、選択が面倒
  • テンキーで素早く値を入力したい
  • マウスやキーボード操作の手間を省きたい

🔧 使い方:テンキー数字で選ぶだけ!

このVBAは、ドロップダウンリストの設定されたセルにテンキーで数字を入力するだけで、自動的にリストの該当項目が入力されるという仕組みです。

実例:

  1. セルにドロップダウンリスト(例:合格, 不合格, 再試験)が設定されている
  2. セルに「1」と入力 → 合格 に自動変換
  3. 「2」と入力 → 不合格
  4. 「3」と入力 → 再試験

特に、紙のチェック表を見ながら「1 2 1 2 2...」と入力していく時に最高の効果を発揮します。

📦 実装方法:たったの3行で導入可能!

Worksheet_Change イベントに下記を追加するだけでOKです。

Private Sub Worksheet_Change(ByVal Target As Range)
    Call EventInputFromNumToDropdownlist(Target)
End Sub

あとは、下記のコードを標準モジュールに貼り付ければ機能します。

主なVBAコード


'EventInputFromNumToDropdownlist・・・元場所:IkiAddin.ModEventChange
'FlattenArray2D                 ・・・元場所:IkiAddin.ModArray
'IsArray2D                      ・・・元場所:IkiAddin.ModArray
'IsArray2DStart1                ・・・元場所:IkiAddin.ModArray

Public Sub EventInputFromNumToDropdownlist(ByRef Target As Range)
'入力先のセルにドロップダウンリストが設定してあって、セルには数字が入力されたときに、
'その数字の番号に該当するドロップダウンリストの値を自動入力する
'入力作業を選択ではなくテンキーの数字入力で済むようになる。
'20241008

'↓入力規則のポップアップ用
'数字を入力すると、対応番号のリスト要素に自動変換

'引数
'Target  ・・・入力セル
    
    '入力セルのドロップダウンリストの数式取得
    If Target.CountLarge > 1 Then Set Target = Target(1)
    On Error Resume Next
    Dim ValidationFormula As String: ValidationFormula = Target.validation.Formula1
    On Error GoTo 0
    If ValidationFormula = "" Then Exit Sub
    
    '数式がセルを参照しているかの処理
    Dim List     As Variant
    On Error Resume Next
    Dim ListCell As Range: Set ListCell = Range(Mid(ValidationFormula, 2))
    On Error GoTo 0
    
    'リストを取得するための各種での分岐処理
    If Not ListCell Is Nothing Then
        'リストがセル参照の場合
        If ListCell.Count = 1 Then
            '単一セル
            ReDim List(1 To 1)
            List(1) = ListCell.Value
        Else
            '複数範囲セル→一次元配列に変換
            List = ListCell.Value
            List = FlattenArray2D(List)
        End If
    
    ElseIf Mid(ValidationFormula, 1) = "=" Then
        '数式だけどセルとして認識されなかった場合→処理しない
        Exit Sub
        
    ElseIf InStr(ValidationFormula, ",") = 0 Then
        'リストが単一の値の場合
        ReDim List(1 To 1)
        List(1) = ValidationFormula
        
    Else
        'リストが複数の場合
        List = Split(ValidationFormula, ",")
        List = WorksheetFunction.Transpose(List)
        List = WorksheetFunction.Transpose(List)
        
    End If
    
    '入力されたのが数字や日付でない場合は処理しない
    If IsNumeric(Target.Value) = False And IsDate(Target.Value) = False Then Exit Sub
    
    '入力された数字に基づいてリストからセルへ入力
    Dim Num As Long: Num = Target.Value
    If Num = 0 Or UBound(List, 1) < Num Then
        Application.EnableEvents = False
        Target.Value = ""
        Application.EnableEvents = True
    Else
        Application.EnableEvents = False
        Target.Value = List(Num)
        Application.EnableEvents = True
    End If
End Sub

Private Function FlattenArray2D(ByRef Array2D As Variant, _
                    Optional ByRef Direction As XlDirection = XlDirection.xlToRight) _
                                             As Variant
'二次元配列を平滑化(一次元配列)にする。並べる値の方向はDirectionで指定
'20220307
'https://www.softex-celware.com/post/flattenarray2d

'引数
'Array2D    ・・・二次元配列
'[Direction]・・・並べる値の方向

'返り値
'二次元配列が平坦化されて一次元配列になったもの

    '引数チェック
    If IsArray2D(Array2D) = False Then Exit Function       '二次元配列かチェック
    If IsArray2DStart1(Array2D) = False Then Exit Function '開始要素番号が1かチェック
    
    '二次元配列のサイズ取得
    Dim N As Long: N = UBound(Array2D, 1) '縦要素数
    Dim M As Long: M = UBound(Array2D, 2) '横要素数
    
    '出力する一次元配列を作成。Directionで場合分け
    Dim Output As Variant: ReDim Output(1 To N * M)
    Dim I      As Long
    Dim J      As Long
    Dim K      As Long: K = 0
    
    Select Case Direction
        Case XlDirection.xlToRight '左から右方向
            For I = 1 To N
                For J = 1 To M
                    K = K + 1
                    Output(K) = Array2D(I, J)
                Next J
            Next I
        Case XlDirection.xlToLeft '右から左方向
            For I = 1 To N
                For J = M To 1 Step -1
                    K = K + 1
                    Output(K) = Array2D(I, J)
                Next J
            Next I
        Case XlDirection.xlDown '上から下方向
            For J = 1 To M
                For I = 1 To N
                    K = K + 1
                    Output(K) = Array2D(I, J)
                Next I
            Next J
        Case XlDirection.xlUp '下から上方向
            For J = 1 To M
                For I = N To 1 Step -1
                    K = K + 1
                    Output(K) = Array2D(I, J)
                Next I
            Next J
    End Select
    
    '出力
    FlattenArray2D = Output
    
End Function

Private Function IsArray2D(ByRef Array2D As Variant, _
               Optional ByRef ArrayName As String = "Array2D") _
                                        As Boolean
'入力配列が二次元配列かどうかチェックする
'20210804
'20220309 変数名変更
'20241230 Functionプロシージャにして判定結果を返す
'https://www.softex-celware.com/post/isarray1d

'引数
'Array2D    ・・・チェックする配列
'[ArrayName]・・・エラーメッセージで表示する時の名前

    On Error Resume Next
    Dim Dummy2 As Long: Dummy2 = UBound(Array2D, 2)
    Dim Dummy3 As Long: Dummy3 = UBound(Array2D, 3)
    On Error GoTo 0
    If Dummy2 = 0 Or Dummy3 <> 0 Then
        MsgBox ArrayName & "は二次元配列を入力してください", vbExclamation
        Stop 'エラーを確認するために一度停止する
        Exit Function 'Falseが返ってくる
    End If
    
    '出力
    IsArray2D = True
    
End Function

Private Function IsArray2DStart1(ByRef Array2D As Variant, _
                     Optional ByRef ArrayName As String = "Array2D") _
                                              As Boolean
'入力二次元配列の開始番号が1かどうかチェックする
'20210804
'20220309 変数名変更
'20241230 Functionプロシージャにして判定結果を返す
'https://www.softex-celware.com/post/isarray1d

'引数
'Array2D    ・・・チェックする二次元配列
'[ArrayName]・・・エラーメッセージで表示する時の名前

    If LBound(Array2D, 1) <> 1 Or LBound(Array2D, 2) <> 1 Then
        MsgBox ArrayName & "の開始要素番号は1にしてください", vbExclamation
        Stop 'エラーを確認するために一度停止する
        Exit Function 'Falseが返ってくる
    End If
    
    '出力
    IsArray2DStart1 = True

End Function

🔍 コードの仕組み

  • 1. 入力されたセルが、入力規則設定されているか検査
  • 2. 入力規則がセル参照かカンマ区切りか自動判別
  • 3. 一覧を配列化
  • 4. 入力値に対応する項目を第X項目として自動変換

📅 使用例の判断ロジック

Alt + ↓ やマウス選択で手間取りな作業も、数字のみで簡単にこなせます。

項目 当日まで VBA適用後
操作方法 Alt+↓↓↓→Enter テンキーで"1"
手間 あり なし
入力スピード 遅い 早い
対応形式 カンマ区切りのみ セル参照もOK

💡 最後に

このように、「数字だけで選択肢を入力できる」というだけで、データ入力作業が何倍も早く、正確になります。

是非お試しください。

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